自作真空管ギターアンプ製作 ~SHINOSのスタート1~

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はじめまして。SHINOS代表の篠原勝です。

僕が一人で有限会社SHINOS AMPLIFIER COMPANYを立ち上げたのが2006年。

そこから少しずつ開発を重ね、今では多くのミュージシャンがSHINOS AMPを使ってくれるようになりました。本当に嬉しい限りです。

SHINOSをスタートしてからいろんな挫折を味わいながらここまでやってきました。今でも挫折と感動の繰り返しです。今回はSHINOSのスタートからこの先どんなアンプメーカーになっていきたいかを知って頂きたいと思います。

 

ギターアンプへ興味が沸いた瞬間

音楽業界の入り口は、22歳のとき、あるレンタル楽器会社に契約社員として働き始めたことでした。

その時期は、ローディーとして現場の基本的なことを覚えました。約2年間在籍したのちに、フリーのローディーとして現場で働いていましたが、いつしか専門的なことにも興味が湧いてくるようになっていました。

そんなある日、現場でギターやアンプのトラブルが起きたとき、マネージャーから「こういうときに直せるギターテクニシャンがいればな」と面と向かって言われたことがありました。

その時、自分の中ではっとしたんです。

「自分はそういう人物になろう」

それから間もなく、あるギターアンプショップに行ったとき、目の前で真空管を交換し、バイアス調整をして、音の違いを聞き分けて、好みの真空管を選ぶというのをみて、僕は釘付けになりました。

当時、GE(ゼネラルエレクトリック)、TUNG-SOL、RCA、Mullardなど今では高価で手に入りづらいNOS(New Old Stock)の真空管サウンドを聞くことができました。そこで一気に自分の中で、真空管に興味が湧いたのを覚えています。

 

初めての真空管測定器

その日を境に、自分で真空管を変えて音の違いを試したり、バイアス調整をしたり、ギターアンプの修理をするようになりました。

先ず最初に真空管試験機TV-7Dを購入しました。

真空管にはそれぞれIpとGmという数値があって、専用の真空管試験機がないと測定できません。

TV-7Dが最初に手元に届いたときは興奮しました。60年代にアメリカ軍が戦場で使っていたものです。見るからに軍用という風格です。「やったー!これで真空管の測定は問題ない」と思いきや、このTV-7Dは自身も真空管で動いているのとIpが測定出来ない、そして測定誤差が大きい。

整流管を測定するには使えますが、パワーチューブのマッチドを測るには精度が低すぎです。

これではまともな測定ができないと判断し、アメリカの真空管業者にお願いして、精度の高いデジタルチューブテスターを購入しました。

Maxi-Matcherです。

今でも活躍中のMaxi-Matcher

電源トランスも日本用の100V仕様になっています。これでようやくパワーチューブを正確に測定することができるようになりました。

当時は、真空管ギターアンプを勉強するには、洋書か真空管オーディオアンプの本で学ぶしかありませんでした。今よりは随分少ないですがインターネットでも調べることはできました。

とにかくいつも時間があれば本を読んでいました。

普段はギターテクニシャンの仕事をしていたため、全国いろんなところを飛びまわっていましたので、新幹線の中、空港、電車の中、ホテルの部屋、どこに行ってもギターアンプのことで頭が一杯でした。

 

自作真空管ギターアンプ製造の日々

アンプの原理が分かると、これは自分でも作れるなという発想になります。

コンサート現場でギターテクニシャンをやっている自分がギターアンプを作ったら、いい物ができるのではないか。ただそれだけの感で作り始めました。

一番最初に作ったのがFENDER BASSMAN 10×4のコピーです。

AMPEARESより引用

先ずはパーツ集めから始まります。

アルミシャーシは秋葉原のケース屋さんに頼んでBASSMANと同じ大きさのシャーシを作ってもらいました。7,000円くらいだったかな。

トランス類はアメリカから取りせました。抵抗器は秋葉原でアーレンブラッドレイを購入。カップリングコンデンサはSprague Vitamin Qを購入。配線材はテフロンワイヤーを使用。スピーカーは当時から今もギターテクニシャンとして担当しているTRICERATOPSの和田唱さん(Vo&G)から、ビンテージJENSENスピーカーを安く購入しました。何と4個で10,000円!!

パーツが揃ったら、いよいよ作業開始です。

シャーシ加工からやります。パーツの配置を考えながらレイアウトを決めていきます。このシャーシ加工が思った以上に大変です。トランスを取り付けるには四角の開口を空けないといけません。

1.5ミリ厚のアルミシャーシは思ったように上手く加工できないのです。

30ミリの穴開けも、シャーシパンチという工具を使いますが、それにはまず10ミリの穴を空けないとシャーシ―パンチが入りません。フロント面の10ミリの穴にはVOLUMEやTREBLEのPOTを付けますが、全くズレずにキレイに並べて穴空けするのは手作業では不可能です。確かシャーシ加工だけで1日かかりました。

そして今度は印刷です。インレタを手作業で貼って行きます。手作業ですから当然多少はズレます(笑)。

 

いよいよ組み込みと配線です。ここが一番楽しい作業です。パーツ取り付けて、ハンダ付けしていくと、どんどんアンプらしくなってきます。配線が終わると、電源をいれます。ここが一番緊張する瞬間です。

そして、ついに電源ON。とりあえず大丈夫。すぐさまテスターで、ヒーター電圧とバイアス電圧を測定。OKです。

 

さあ、次にスタンバイスイッチをONにする番です。スタンバイスイッチをONにするということは、高圧電圧をONにすることになります。心を決めてスタンバイON!!大丈夫!!変なにおいもない、火花や煙も出ていません。すぐさまテスターで電圧チェック。大丈夫そう。

一度電源を落とします。

ふー、恐ろしい(笑)。お茶でも飲んで一休み。

さあこれで安心してはいけない、まだ真空管を挿していない。

前に進むべし!!真空管を挿して、いよいよ電源ON!!真空管のヒーターが光りました。電圧もOK、さあスタンバイON!!すかさずプレート電圧を測定、大丈夫だ!!

さすが自分。

じゃ音でるはず。

ギターをプラグインして、スピ―カーをつなぐと音が出ました。でも、夜中の自宅なので大きな音は出せず。ん?なんかずっと「ジー」というノイズがなっています。

とりあえずこのノイズを除去しようと、回路内を探ると、バチッ!!ビリビリ!!感電しまくりです。これを僕はアンプの洗礼と呼んでいます。

真空管の内部は450ボルトの直流がかかっているので、感電すると半端じゃないです。

感電しながらも、このノイズを除去するのに3日かかりました。

 

さて、今度はアンプキャビネットの製作です。当時まだ工房を持っていませんでしたので、親友でありギターの修理や、ギターの作り方などを教えてくれた、僕のギタークラフトの師匠でもある

KANJI GUITAR 川畑 完之くんにお願いしてキャビネットの製作依頼をしました。

トーレックスは、当時ツイードが入手できなかったので、日暮里の生地屋さんで麻の生地見つけてそれを使いました。

これが初めて作ったギターアンプ。今でも、SHINOSの端っこに置いてあります。

 

和田唱さんから売ってもらったスピーカー。

 

インレタは自分でやったのでずれてます(笑)。

 

ついに、自作真空管ギターアンプ試奏

いよいよスタジオで自作真空管ギターアンプの試奏です。

ギターをプラグインして音出しです!!

「ん?」

何か音が良くない。弾いていて気持ちよくない。

ただ、動作的には問題ないのです。

当時は、どうしていい音が出ないのかわかりませんでした。

今思うと、

ただコピーを作っただけではいい音は出ない。

当たり前のことなのです。

 

結局このアンプは使うことはありませんでした。

僕の最初の自作真空管ギターアンプは大失敗に終わったのでした。

 

この失敗を取り戻すべく、次はFENDER CHAMPを作りました。

イケベ楽器楽天ショップ より引用

そして、その次がFENDER DELUXE 5E3を作りました。

ギタープラネットより引用

1台目の失敗の原因を改善するために、パーツの選び方や配線の仕方などいろいろな工夫を自分なりに重ねていきました。

2台ともいい音をしていました。

この2台は、1台目のFENDER BASSMAN 10×4より回路がシンプルなので作りやすく、大きさが小型なので、自分でキャビネットを作りました。

普段はテクニシャンとして毎日のようにライブ現場で働きならが、時間がある限りギターアンプの研究を重ねていきました。さらに、仲間のテクニシャンからギターアンプの修理を請け負うようになり、様々なギターアンプの内部構造を知ることになったのです。

 

 

次回は、オリジナルの自作アンプ制作のお話を書きたいと思います。

SHINOS 代表・Master Builder 篠原勝

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4 comments on “自作真空管ギターアンプ製作 ~SHINOSのスタート1~

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