VOXギターアンプ、SHINOS篠原勝が語るその魅力!

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VOXは代表的なイギリスのアンプメーカー。

The Beatles、The Rolling Stonesのキース・リチャーズが使っていたこともあり、僕も大好きなアンプの1つです。「ボヘミアン・ラプソディ」の映画で人気が再燃したQUEENのブライアン・メイも愛用していました。

アンプテクニシャンとしても、VOXには敬意を表しています。そんなVOXアンプの魅力について語ります。

AC30 Hand Wired HW2/2X

The Beatles といえば「AC30」!

wikipediaより引用

60年代ものは僕も何台か実際に鳴らしたことがあります。素晴らしいブリティッシュサウンドを奏でていました。
ステージにずらりとVOXが並んでいるだけでかっこいいアンプです。

VOXアンプは独自路線を突き進んできました。プリアンプ回路が独自なことに加えて、ノン・ネガティブフィードバック。パワー管にEL84搭載、整流器には整流管を使用。ギターアンプにEL84を自己バイアス回路で搭載した代表的なアンプがVOXと言えるでしょう。そして、真空管EL84を使用したギターアンプサウンドがVOXとして認識されているでしょう。しっかりとした低音がありながら、ヌケのよいクリーンサウンドが特長で、VOLUMEを上げていくと、サスティーンのある真空管ナチュラルオーバードライブサウンドが得られます。

真空管EL84

AC30は、実によくできています。

シリーズの中でもHand Wired(HW2/2X)は2個のスピーカーを積んでいますが、HWの方はスピーカーユニットにAlnico Blueを搭載、Alnico Blueは出力15Wしかありませんので、トータル30Wになります。

Alnicoは磁石の名称ですが、アルミニウム (Al)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co)を原料として作られています。それぞれの元素記号から名付けられた磁石です。現在の磁石の主流はフェライトですが、ある磁石メーカーのエンジニアに聞いたところ「Alnicoは、ほんとうにいい磁石だ!」とおっしゃっていました。

アンプの出力が30Wでスピーカーの許容入力が30Wというのは、スピーカーユニットに余裕があまりありません。
ヘタをしたらスピーカーが飛んでしまう可能性もあります。通常は余裕を持って倍くらいのワット数のスピーカーを使うものです。しかし、このギリギリ感がAC30の魅力なのかもしれないですね。

HW2の方は、Celestion Green Back を搭載。

なかでもAC 30 Hand Wired HW2/2Xは最高の名機です。プリント基盤を使わずに、高い技術力を駆使して、丁寧に時間をかけて手づくりで作られた至高のアンプです。それにも関わらず、20万円ほどで安く手に入れられます。

AC 30 Hand Wired HW2X

Hand Wiredには、昔のAC30と違ってマスターボリュームがあり、このマスターボリュームはオフにもできます。ノーマルチャンネルとトップブーストチャンネルが付いた2チャンネルです。トップブーストはホット/クールを切り替えられ、クール側にすると高音が立ち上がって歯切れのよいサウンドになります。

AC30 C2X

AC30 C2X

C2Xの回路はハンドワイヤードではありません。また、ノーマルとトップブーストの2チャンネル構成ですが、それぞれのチャンネルにマスターボリュームが搭載されています。

現代的なAC30が2CVX。マスターボリュームとチャンネルのボリュームでゲインを調整すると、きらきらしたクリーントーンから歪んだオーバードライブまで音づくりができます。

かつては100WのVOXアンプもありましたが、人気がありませんでした。大音量が売りではないので、メーカーも人気のある機種に注力するのではないでしょうか。

グリルネットのひし形もVOXの特長。C2Xにも継承されています。

AC30 6TBX

reverb.comから引用

VOXは1990~2000年代に新しいアンプを出しました。それが6TBXです。60年代のVOXとはまったく違う音ですが、VOXサウンドを再現していて、売れましたね。クリーンからクランチサウンドがとても気持ちよく鳴ります。仕事の現場で最も使うことが多く、馴染み深いギターアンプです。

この6TBXにはSHINOSも影響を受けました。6TBXの歪み感がとても好きなんです。やはりギターアンプは、ボリュームを上げたときに歪ませたい。音量を上げていったときの歪の感じがいいですね。

SHINOSの新商品、NAMM SHOW 2020

現在、VOXは日本のKORGの傘下になっています。
実は紹介を通じて、元KORGでVOXのチーフエンジニアをしていた、李さんという開発者と知り合い「VOX&SHINOSで何か共同開発できないか?」など夢を語っていました。

その後、李さんは退職して現在は独立し、LEE CUSTOM AMPLIFIERを立ち上げてアンプやエフェクターを作っています。独立後、何度か打ち合わせを重ね、遂にSHINOSとLee Custom Amplifierによるダブルネームの真空管ギターアンプの開発が実現しました。

このアンプは、VOXをモチーフにしています。李さんの長年のVOXチーフエンジニアの経験をフルに活かし、そこにSHINOSのデザインとアイデアを組み合わせた真空管ギターアンプになります。価格設定も多くの方が購入出来るように配慮しました。

2020年1月にアメリカ・アナハイム行われる世界最大の楽器展示会「NAMM SHOW 2020」にてSHINOS & Lee Custom Amplifier のダブルネームの新商品を発表します。世界中から楽器関係者が集まるこの場所で、ダブルネームの新商品を発表できることをとても嬉しく思っています。

CROSS BRIDGEが企画するNAMM SHOW 2020ツアー

番外編:MATCHLESS DC30

MATCHLESS DC30

VOXアンプ特集で別メーカーを取り上げるのはイレギュラーですが、VOXサウンドを引き継ぐメーカーとしてMATCHLESS DC30があります。MATCHLESSは、ハイエンドギターアンプの代表的なメーカーです。

MATCHLESS DC30は、基本的にはVOX AC30をモチーフにしています。

2チャンネル仕様で、独立したプリアンプ回路で構成されています。1チャンネルはクリーントーンで、2チャンネルはオーバードライブチャンネルになっています。パワー管にEL84を使っているこだわりにもVOXらしさを感じます。

少しミドルに癖があると感じますが、プリ管EF86の特性でしょう。ほどよく歪んだサウンドを奏でてくれます。1チャンネルを使ってエフェクターで歪みを足すと、個人的には使いやすいという感じですね。

篠原勝にとって、ヴィンテージアンプの魅力とは

AC30をはじめ、ヴィンテージアンプの魅力は「説得力のある心地よい音」です。

50年代や60年代のヴィンテージサウンドを奏でることが魅力ではないでしょうか。

まるでかつてのギタリストが甦ったかのような印象!現在のアンプでは再現できませんが、現在のアンプがサウンド的に劣っているという意味ではありません。

ライブコンサートはもちろん、レコーディングスタジオでエンジニアがマイクを立ててコンソールルームで聴いた場合、現代のギターアンプとヴィンテージのギターアンプの音は歴然とした違いがあります。録音して比べた場合、必ずといってよいほど、ヴィンテージアンプのテイクが採用されます。


VOXアンプ特集いかがでしたでしょうか。アメリカのメーカーであるFenderギターアップについての記事もアップしております。こちらも合わせてご覧ください。

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